基礎知識(EV充電器)
EV充電器の設置に参考となる基礎知識を紹介します。
掲載した情報をご参考いただき、EV充電器の設置に向けた検討をお進めください。
EV充電器について
(1) EV充電器の種類
EV充電器には、充電器の出力に応じて普通充電器、急速充電器があります。
一般的に、普通充電器は出力10kW未満、急速充電器は出力10kW以上と分類され、出力90kW以上の充電器は超急速充電器と呼ぶことがあります。
EV(Electric Vehicle:電気自動車)のバッテリーに貯めた電力を取り出し、自宅などで使用するV2H(Vehicle to Home)や事業所などのエレベーターや空調設備等を動かすための三相電力として使用するV2B(Vehicle to Building)と呼ばれる設備もあります。
これらの設備があると、災害時などで停電した際に、EVを蓄電池として活用することができ、事業所の防災対策として役立ちます。
V2H、V2Bは充電器としての機能も有しており、EVに充電することも可能です。
また、充放電する機能があることから充放電設備と呼ばれます。
V2Bの設置事例


災害時などで停電した際にEVに貯めた電力を取り出し、事業所のエレベーターを稼働できます
(40kWhバッテリーEVで15人乗りエレベーターを10時間程度稼働可)。
また、駐車場の屋根にソーラーパネルが設置されており、平常時は再生可能エネルギーの自家消費や、EV・蓄電池へ充電が可能です。
国内の充電器メーカー各社が様々なタイプの充電器を製造しています。
出力や価格、大きさなどに違いがありますので、ご希望に合った充電器を選択してください。
(充電器の仕様は、充電器メーカー各社のホームページでご確認ください。)
種類 | コンセント | 壁掛け型 | スタンド型 |
---|---|---|---|
写真 | ![]() |
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出力 | 15kW(壁掛け型) | 50kW | 100kW | 100kW(蓄電池内蔵型) | 120kW |
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出力 | V2H | V2B |
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充電出力 | 3kW〜10kW | 10kW |
写真 |
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用途 | EVのバッテリーに貯めた電力を取り出し、 自宅などで使用 |
EVのバッテリーに貯めた電力を取り出し、 エレベーターや空調設備を動かすために使用 |
特徴 | 災害時などで停電した際に、EVを蓄電池として活用でき、防災対策として有益 |
(2) 充電時間と設置費用
普通充電器は、出力が小さいため充電時間は長くなりますが、低コストでの設置が可能です。
一方、急速充電器は短時間での充電ができますが、普通充電器よりも設置費用は高額となります。想定するEVの使い方に応じて、適した出力の充電器を設置することが重要です。
(4) 充電器の出力と充電時間
充電器の出力が大きいほどEVの充電時間は短くなります。
バッテリー容量40kWhのEVに対する充電時間を単純に試算すると、以下のようになります。
バッテリーの充電残量等により、実際の充電時間は異なりますので、参考値として御覧ください。
(EVの車種により充電可能な最大出力が異なるので、検討・購入の際には自動車ディーラーやカタログ等でご確認ください。)
充電器分類 | 出力 | 充電時間(参考値) 【バッテリー容量40kWh】 |
---|---|---|
100Vコンセント | 0.6kW〜1.2kW | 40kWh÷1.2kW=33.3時間 |
200Vコンセント 普通充電器 |
3.0kW | 40kWh÷3.0kW=13.3時間 |
高出力普通充電器 | 6.0kW | 40kWh÷6.0kW=6.7時間 |
急速充電器 | 50kW | 40kWh÷50kW=0.8時間=48分 |
超急速充電器 | 120kW | 40kWh÷120kW=0.3時間=12分 |
※急速充電器は、CHAdeMO規格により、バッテリーの状態に基づいて充電出力が制御されます。
(通常、バッテリーが満充電に近くなるほど出力が低下します。)
(5) まとめ
これまでの内容をまとめると以下の表になりますので、設置に向けた検討のご参考にしてください。
分類 | 普通充電器 | 急速充電器 | 充放電設備 |
---|---|---|---|
充電口 |
|
|
|
充電設備 |
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充電時間 | 長い | 短い | 普通充電器と同程度 |
設置費用 | 小 | 大 | 中 |
EVの充電場所
(1) 充電場所
- ガソリン車の場合は、ガソリンスタンドで給油していましたが、EVは事業所に設置した充電器(基礎充電)や街中の公共用充電器(経路充電、目的地充電)で充電します。
- 基礎充電で充電することで、ガソリンスタンドに行く手間がなくなり、夜間に充電しておけば、毎日満充電での出発が可能です。
また、これまでのガソリン代と比べ、基礎充電での充電代は安くなるのが一般的です。 - 公共用充電器は、自動車ディーラーなどの商業施設や都立公園などに設置されています。充電器の設置場所は、充電サービス事業者のアプリや民間の充電器設置情報サイトなどで確認できます。
公共用の充電器で充電する場合は、事業所での基礎充電と比べ、割高な充電料金となることが多いです。
(2) 利用シーンに応じた充電の分類
EVへの充電は利用シーンに応じて、基礎充電、経路充電、目的地充電に分類されます。
基礎充電
事務所など事業の拠点となる場所での充電のことで、夜間など車両を使用しない時間帯に充電できることから、低出力な普通充電器の設置が適している場合が多いです。
経路充電
移動途中での充電のことで、短時間の駐車時間の間に充電が必要なことから、高出力な急速充電器の設置が適しています。
目的地充電
商業施設や宿泊施設など一時的な滞在場所での充電のことで、利用者の滞在時間に応じた適切な出力の充電器を選択することが重要です。
充電器の設置場所ごとに、設置に適した充電器出力は異なりますが、一般的に高出力な充電器ほど設置費用は高額となります。
電気料金について
電気料金は、契約の大きさで決まる①基本料金と使用電力量に基づく②電力量料金、③再生可能エネルギー発電促進賦課金の合計額となります。
事業所に充電器を設置することで、基本料金が高くなる場合があります。一般に、高出力の充電器を設置するほど基本料金が高くなりますので、EVの利用実態に適した充電器出力の検討が必要です。
また、事業所の充電器を使用して充電した場合は、その分の電気代が電力量料金と再生可能エネルギー発電促進賦課金として加算され、電気料金として請求されます。